千明はてっきりおっさんは家に居るものだと思っていた。
それは5人で千明の家に向かっていたときだ。
「クジで当てたおっさんってどんなおっさんかな!?」
「金だから相当レアなおっさんだろ!たぶんイタリア風のかっこいいおっさんだな!」
何勝手な想像をしているんだこいつらは…イタリア風って…千明はなんとなくおっさんを見せるのが恥ずかしくなってきた。
千明がそう思っていたときだった。
「うわぁ、あれってリストラってやつかな?」
勇太が指を差した先にはくたびれたスーツを着てブランコに乗っている中年オヤジがいた。
…ん?あれ?おっさん?やばいよ…まだ心の準備が…!千明がそう思ったときだ。
おっさんは立ち上がりこっちに手を振ってきた。
「千明くーん!おかえりー!」
4人が一斉に千明の顔を見た。
やばい!なんとかごまかすんだ俺…!
「…だ、誰だよ!?最近この辺に出る変質者かな?アハハハ…ほんと困るよな、ああいうの…ハハハ…」
よし!完璧だ!絶対ごまかせる…!そう思っていたのは千明だけだった。
4人からの痛々しい視線が千明を襲う。
「…千明、もういいよ…よく頑張った…」
葵は優しい口調でそう言うとポンポンと千明の肩をたたいた。
それが4人とおっさんの初めての出会いだった。