千明の家に到着
「本当におっさんだよ…しかも日本式のおっさんじゃん…」
勇太はベタベタとおっさんを触っている。
「う〜ん、この歳じゃたぶんサッカーより野球派だろうなぁ、『ろなうじーにょ』分かる?『ろなうじーにょ』」
結局お前はサッカーか。
「たるんでるねぇ〜、腹筋くらいしたほうがいいよ〜、ほら、こうやってさ…」
なんでお前が腹筋し始めてんだよ。
それからおっさんは1時間以上もいじられた。
「なぁ千明、夏休みどっか行かねぇ!?」
さすがにおっさんいじりに飽きたのか突然誠が千明に話をふってきた。
すると割り込むように勇太が話に入ってきた。
「夏なら海でしょ!海!絶対海!ビキニの女の子見たいし!」
「海!?あたしも行くー!」
「だからチビは来るなって言ってんだろ!お前はスクール水着がお似合いなんだよ!市民プールにでも行ってろ!」
勇太、もうつっかかるな。葵には結局負けるんだ…
「海?ここからじゃ遠いだろ?電車とか面倒くさいし…」
千明が乗り気じゃないのは移動が面倒くさいからではない。
海が嫌だからだ。
海で溺れたというベタなトラウマからどうしても乗り気にはなれなかった。
「大丈夫!おっさんが車の免許持ってるから!少し我慢しろ!」
えぇ〜!?何で免許持ってんだよ!?
「いや…、でもさ…」
「千明〜、行こうよ海!」
葵の登場だ。この時点でもう断れない。特に千明は過去にあったある事件が原因で葵に対して負い目を感じている。
その事件というのは葵が口悪バカ女になった原因でもあるのだが…。
「しょ、しょおがねぇなぁ〜!」
結局千明も海に行くことになってしまった。
「よし!じゃあ今週水着買いに行こうかな!ビキニ!」
「てめぇはスクール水着がお似合いだって言ってんだよ!」
「ゆうちゃんと買いに行こうかな」
ゆうちゃんとは勇太の大好きなあの人の下の名前だ。
「…あ、葵ちゃ〜ん俺も行くよ〜…!荷物持ちでも何でもするから!」
勇太の態度が急に変わった。
「あ、そういや今週は彼氏とデートって言ってたなゆうちゃん」
それはひどすぎるよ葵…
「あぁ〜ああぁーああああぁ〜何も聞いてない、俺何も聞いてない、あぁ〜ああぁー」
勇太が壊れた。