そのとき、真上の雲の隙間から太陽の光が射し込んで、私たちを包んだ。
なんて暖かいのだろう。
私はハルキを揺すった。
「ハルキ…ほら、太陽だよ…」
しかし、ハルキは何も答えず、私の腕の中で固く目を瞑っていた。
どうして太陽は、あとほんの少し早く現れてはくれなかったのだろうか。
私は、胸が張り裂けそうになった。
しかし私には、もう涙を流す力すらなかった。
目を閉じると、小さな光が見えた。あの光の向こうにハルキがいる気がする。自由がある気がする。
こんなにも辛いなら、生まれて来ない方が良かった。
生まれて来なければならなかったのなら、もっと幸せな場所が良かった。
“努力は報われる”と言うが、私はどんなに努力をしても何も変わらなかった。
しかし、ハルキに出会った。
それは、誇れるほど幸せなことだった。
唯一の幸せだった。
しかし最大の幸せでもあった。
ハルキという存在が、私にとっての“幸せ”そのものだった。
ハルキ、ごめん…守ってあげられなくて。
今度この世に生まれて来たときには、絶対に守ってあげるから。そこがどんな場所であっても。
一緒に遊園地に行こうね。約束だよ。
雪が止んだ…気がした。