私の方こそ、何も見えてなくて…。ワガママばっかりだったと思う。
「アイツから聞いた…」
和也の言うアイツって言うのは
もしかして…
「松本?」
私の問い掛けに和也は頷いてそのまま続けた。
「お前が泣いてる事…。中途半端な事すんなって。それに、宣戦布告までされた…」
最後は薄笑いを浮かべて。
私は焦って真実を伝える。
「た、確かに…アタックはされたけど。…私の気持ちは何も変わんないよ?
3年前から、ずっと…
和也が好きだからっ」
言った後、改めて愛の告白をしてしまったと、ハタと気付く。
でも、これが自分の本当の気持ちだから。
愛しくて、恋しくて仕方ないんだよ?
ちゃんと、伝わって!お願い―\r
和也は、目をぎゅっとつぶって立っていた私の腕に手を伸ばすと自分の方へと引き寄せた。
「風邪移ったらごめんな」って、笑いながら。
私はそれが嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
愛されてると言う、安心と…確信。
和也の体温で全ての呪縛から解き放たれる。
「上着…取って」
彼がさっき着ていた上着を指差すから、かけていたハンガーを外すして手元へ。
和也は受け取るとポケットから小さな何か、を取り出した。