何も考えずに、ここまで来た俺はどうしたもんだか、言葉が出て来ない。
黙っていたあゆみが口を開く。
「汗かいてるよ。どっかお店入る?」
俺はあゆみがいつもの調子に戻っているのに気付いた。
雨の中、海岸線沿いを歩き、近くのファーストフードの店に入った。
向かい合って女の子と座るのも俺は初めてだった。
緊張している自分がよく分かる。
「中止の電話あったんだ?」
「8時頃だよ。」
「あっ。もう出てた。」
一年生から同じクラスのなのに、俺はあゆみの事を何も知らなかった。
「あたし、小田原じゃん」
そーなんだ、遠いじゃね〜か!
クラスメートは大概、チャリンコ通学か、電車でも30分位の通学時間だ。
それからあゆみは自分の事を色々話し、俺にも色々質問してきた。
よくしゃべんな〜と少し面倒ながらも俺は悪い気はしていない。
むしろ、舞い上がってる感じを悟られない様に必死だったのかもしれない。