何不自由ない時代7

シンヤ・G  2007-11-20投稿
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病院を出てしばらく歩いたところで「しまった!」と思った。住居の確保をし忘れたのだ。今更インターネットをする為だけに病院へは戻れない。いや、戻ってもいいが、何だかあつかましいと思ったので戻らない事にした。インターネットは病院でしか出来ないというものでは無いだろうし。
自分の計算力の弱さに多少は憤慨したが、いつまでも引きずるほどのものではなかった。
さっきから歩きながら感じていたが、街が非常に綺麗だ。それに圧迫感が無い。建物と建物の間が広々としていて、空きスペースには必ず芝生と樹が植えられている。
空を見上げると果てしなく景色が続いている。空気が澄み切っているのだ。道路を行き交う車から排気ガスが全く出ていないのだろう。500年前に危惧されていた温暖化も無くなっているようだ。病院のインターネットで日付を見た時は8月11日で夏真っ盛りだが、さほど暑くない。
どうやら環境問題も解決してしまっているようだ。怖くなるほど僕は恵まれている。
道行く人々は皆一様に背が高く、顔も彫りが深くて端正だ。やはり看護師の容姿は全体を表していた。僕の未来の恋人は美人である確率が高い。
それはそうと、インターネットを探さなければならない。ネットカフェは無いのだろうか。待てよ、携帯通信器を買えばいいではないか。
しかし、500年前のように携帯電話販売店で有る事をアピールする派手なディスプレイが見当たらない。全ての店がビルの中で息を潜めているように見える。



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