『1億円とはたったこれだけの厚みですよ。』
突然舞台に現れたTシャツ姿の男の第一声がこの言葉だった。 壇上の男は続けざまに言い放った。
『この会場に来た5人に1人はこのお金を毎日自由に使う事ができるようになります』と・・・。
私 木村洋一は49歳。
転職すること20回以上。
何をやっても長続きしないいわゆる駄目人間である。
その為奥さんと子供も家を出て行き今では庭の裏に住む野良猫との共同生活である。
こんな駄目人間が三ヶ月で本当に億の金を動かせる男になるとは誰が予想しただろうか・・・
ここは今や誰もが羨む六本木ヒルズ
朝から上質のスーツに身を纏ったサラリーマンが行き来している横で空き缶に自転車汚れた段ボールを片手に500人近い場違いの男達が並んでいた。