一転...二転...三転...
いったいどのくらい吹っ飛んだ…
金髪の青年は霞む意識をなんとか正常につなぎ止める
全身を鈍器で殴られたような痛み。とりあえず生きてる…
── あの野郎は化け物かよ…───
頭をフル回転させ現状把握に務める。敵はこちらに向かってくる様子はないようだ
自分の武器が消えているのに気付く。どうやら一瞬気を失ったみたいようだ
左斜め前に自分を庇って背中から地面に叩き付けられたように倒れた仲間に目を向ける
動いてない…
胸に斜めに走る赤い線…
『レイス!起きろ!』
頼む… 起きてくれ…
ただそう切に願った
その声に反応してか彼の右腕がピクリと動いた
それを見た青年が駆け寄り大丈夫かと一言投げ掛ける
『足を引っ張るな。馬鹿者。』
彼はそう言うと体を起こした。肩で息をし生々しく胸につけられた傷に手を当て目標に目を向けた。手が赤く染まっていた
ペンダントでラウルに『気にするな』と一言告げた。少年の表情は憤怒や心配等の感情が入り混じっている
それを終始観察していた白いスーツの男がおもむろに口を開いた
『儚い。脆い。弱い。人間とは何故こうも哀れな生物なんでしょう。もっと私を楽しませてくださいよ』
顔に手を当て今にも発狂してしまいそうな感情を抑えるように
『気持ちわりぃ野郎だ。反吐が出る』
『同感だ』
二人はそう言うと立ち上がり、青の青年は同時に蒼刃を出した
さぁ、あと10秒だ…
白いスーツの男は気付いていないが少年の背に突如現れた大きな紫色の紋章が構築されていた
そう、白いスーツの男は二人と少年の間に割って入るような感じにあった
『さっさとラウルの所に行くぞ!』
『あぁ!』
二人は再び走りだす。勝利を掴む為に…
あっという間にその距離は縮まった
『はぁ!』
青の青年が一つ飛んで上から強襲。大剣がそれを阻むが、それの反動を使い宙を返り少年の横に見事に着地。その間に金髪の青年もそこにいた。速さは青の青年が勝るらしい
自然とこちらに目を向ける形になった白いスーツの男。驚きの表情を浮かべている
『絶対にお前は許さない!』
『懺悔はしたか?』
『謝ってもおせぇからな!』
勝敗が決する