神仙
「あ、おーかみのおじちゃんこんにちは〜」
大神仁が農具をとりに納屋へ向かうと、姿を見かけた子供たちが手を振ってくる。
過去の行いを恥じ、山際晋達と共に子供を守ると決意をした大神らであった。
彼ら屈強の男たち十数名が加わったのを機に、サンダーと呼ばれていた雷雨の精霊は、旱魃の地へと去っていった。
「おう! またオジチャン達がんばるからな」
笑い返した大神は、仲間達が天を指しながら何事か騒いでいたのをみとがめた。
「ありゃなんだ?」
「龍じゃねえのか?」
「お前ら、早くしないと日がくれて……」
龍だ!…青龍…?
空の色が溶けだしたかの様な、真っ青に輝く鱗に全身を覆われた龍がこちらに向かってくるではないか!
「ほい、お前さん達は新顔じゃのう。 こいつはワシの足代わりじゃで、心配はいらんよ、ウッホッホ」
「… ドラゴン、この人を食ったじじいは何物なんだよ」
「アハハ、聞こえますよ、地獄耳なんだから。 あのご老体は『呂仙人』ですよ」
山際晋は、大神の言い草に笑って答えた。