清美はブランコに乗っている少女に少し近づいた。
それは、やはり幼い頃の清美自身だった。
しかしまだ信じてなかった。そんなことはありえない。そう思いながら、さらに近づき、少女の顔をじっと覗き込んだ。
そして決定的な証拠を見てしまった。少女の右の頬には、三角形の形に三つの黒子があった。見るまでもなく、清美の頬にもそれはあった。
清美は動かなかった。いや、動けなかったと言う方が正しいだろう。そして、ただ何をするでもなく、じっと少女の方を見ていた。
確にあれは夢ではなく、現実だった。
私はあの時、過去に行って幼い頃の自分を見ていたのだろうか。
それとも、あの子が、未来の自分を見に、ここにやってきたのだろうか。
いや、そんな幻想的なことはありえない。
なら、本当に私とあの少女は同一人物なのか。
これ以後、例の夢は見たことがない。