「私たちは全知全能の賢神アバスタ様に日々守護され、このように豊かな生活を保つことができ…」
テレビから流れる腐れ国家の腐れ神様に感謝しろ番組の頭ン中で蛙飼ってそうなナレーターの声で眼が覚める。
最悪な覚醒だ。
朝っぱらから面白くもないテレビを見ている同居人ならびに疫病神に朝っぱらから最悪な罵声を浴びせる。
「おい!糞ったれ同居人!誰が電気消費して良いって言ったよ?早く消せ。俺がお前を殺す前に消せ。即ち光をもしのぐ速さで消せ。」
糞同居人はひいっ!と今にも失禁しそうな声を出すと、すぐにテレビを消した。
俺は無機質なパイプベットから起き上がり、同居人のいるリビングダイニングに向かう
「お…おはよ」といつもの弱々しい朝の挨拶をする同居人。
「ああ。おはようございますですね。疫病神様!今日も今日とて貧相な顔をしていらっしゃる!てことでそろそろ天か地にお帰りになることを強く薦めますですね。はい。」と嫌味を吐き捨てれば、「朝からそこまでいうことないじゃないか…」と一応に反論してくる。蚊が鳴くような音量でだが
「ふん。朝っぱらから腐れた番組みてる貴様が悪いんだ。」と同居人を睨みつつ、トースターにパンを突っ込む。
「エステルさんは反賢神派…?」
と少し遠慮気味に聞いてくる。
俺は調子の悪いトースターに一発強烈な叩きをいれつつ言った。
「反賢神派が賢神を崇拝している国家の軍の幹部になれるわけねえだろ。お前様の頭は蛆とゴキブリが沸いてんじゃないか?」
「沸いてるわけないだろ…でも…賢神を心から崇拝してるって言えるの?」
トースターから景気の良い焼き終わりを告げるチンッという音がした。
中から出てきたのは真っ黒な固体だった。
「馬鹿じゃないか?この国に本気で賢神を崇拝してるヤツなんか一握りだ。大体俺は神なんて知らない。」と言いつつ、同居人のだらしなく開いた口に真っ黒な固体を押し込む。
「っんぐ…はあ…八当たりはよせよな」と黒い固体をゴミ箱に捨てると同居人はああそうだ!と思い出したように口を開いた
「デメラスさんがエステルに死んでも今日は城に来いって。」
「ああ分かってるよ。サボりすぎたからな。」
欠伸をひとつぶちかましつつ、軍服に袖を通す。
血の臭いがしない軍服を着たのは久しぶりだった。
next