「あっごめん 名前聞いていいかなぁ」
「あっ…はい」
とっさにいつも使っている偽名を言った
「華(ハナ)です」
「華ちゃんか!よろしくね〜俺はタカです」
タカは気さくで優しくとても好印象だった
商業高校卒業後食品会社の営業をしていると言った
まぁ嘘でも本当でもどちらでもよかった
楽しく話して時間を潰すことが目的だ
嘘で楽しませてくれるならその方がよかった
このころは想像するだけで楽しかった
タカは私の作り話をうんうんと聞いてくれた
30分くらい話をすると加奈子が帰ってきた
「そろそろバイト行かなきゃ」
加奈子がつまんなそうな顔をしているので私はタカにそう言った
どうでもいい相手ならガチャギリするのだがタカにはそんな失礼なことをしたくなかった
「えぇ…そうなんだ 残念だなぁ
もしよかったら番号教えるからいつでも電話ちょうだい」
「わかった 電話する」
そのあとは加奈子がさっきまで話していたテレクラの相手の愚痴を聞きながらスーパーに入った
「さて、やるか」
二人は顔を見合わせてニヤリッとした