夢と希望に満ち溢れた春。私はホテルマンになるべく都内のホテル学校へ入学した。高校を卒業し，まだまだ高校生気分だったが，はじめての電車通学。スーツ登校。なにもかも新鮮だった。
「ねぇ，家ドコ？」
名前順の席で私の前に座っていた子（相沢 絵美）が話しかけて来た。
「板橋区。東武東上線?」私は多分知ってるだろうと思い，答えた。
「ふ−ん。知らないけど」と絵美。
少し無愛想だけど裏表のなさそうな，ふっくらした体型が愛らしいこの絵美とそして美人だけどだらしないかおり，しっかりものの優等生亜紀と二年間一緒にいることになる。そして私を盲目にし，身体をも開花させた，巧。これから起こる壮絶な愛憎劇を知るよしもなかった。
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