高校に入ってからは中学生のトキよりも忙しかった。
新しい友達の中で変わって行く自分に恐くなったり、春樹達に会いたくなって涙したり・・・。
心が忙しかった。
ある日、いつものように重い心を引きずって家に帰り、携帯を開くとたくさんメールが来ていた。
『またたくさん来てるよ。少し、休みたいのに。』
久しぶりに本音が口に出た。
でも、メールに書く内容はそれとは違う。
《メールありがと♪゛》
とか
《メールしようと思ってたの。》
と自分の気持ちにうそをつく。
そんな自分に嫌気がさしていた。
一通りメールを打ち終わって、宿題に取り掛かっていると携帯の着メロが鳴った。
『電話だ。』
と呟いて携帯を開く。
《着信;春樹》
一瞬ドキっとした自分に恥いながら電話に出た。
『真美です!』
『あ、春樹だけど。』
変わらない声で少し安心した。
『どうしたの?』
と私が聞くと彼は
『いや・・真美、元気かなってさ。』
と少し照れくさそうに答えた。
『あ、うん。げ・・』
【元気だよ】ってなぜか言えなかった。
だまっていると
『大丈夫か?俺で良ければ話聞くけど。』
という心配そうな声が聞こえてきた。
別に心配かけようとしたのではない。
ただ、春樹にだけは他の友達のようにうそをつきたくなかった。
『うん、あのね・・』
私はすべて話した。
変わって行く自分が恐いこと、自分の気持ちにうそをついて友達に接していること、そして春樹達に会いたくなること。
春樹はだまって聞いててくれた。
それがまた嬉しかった。
『俺、うまく言えないけど、やっぱり自分の気持ちにうそをつくのはいけないと思う。
でもな、友達の事を考えてうそをつかなきゃいけないトキだってあるだろ。
そういう事ができる優しい真美も必要だと思う。』
春樹の声は真剣だった。
『でも時には自分の気持ちを出さないとダメだ。俺で良ければいつでも聞くし。なっ?』
恥ずかしかったのか、語尾が小さい。
『うん。ありがと。』
私は嬉しくて、それしか言えなかった。
『じゃあな。頑張れよ・・。あとっ』
春樹の思い切ったような声が聞こえた。
『何?』
『真美が今Θ、俺に全部打ち明けてくれて嬉しかったから。』
電話が切れるのと、涙が流れるのが同時だった。
不思議と温かい涙だった。
糸売<
?は?の投稿日から三日以内には書きますのでよろしくお願いします。