いつの間にか雨は止み、辺りは少し視界が利く様に成っていた。
傭兵達は作戦の説明を受けていた。
傭兵約200人の内、半数が村の家を襲い、残り半数は、村の回りを待機し逃げた村人の待伏せ討伐。
傭兵長
【....分かっていると思うが、討伐部隊の任務が一番重要だ。】
もし逃げた村人が、助けを求めノロシでも上げようものなら、敵領地のド真ん中で、傭兵部隊は全滅だった。
傭兵長
【よって、村に火を放つ事は許さん。
....皆殺しにしろ!!】
ネメシスは殲滅部隊に居た。
4人の小隊行動。
高台に見張りを付け、付近に逃げ出した村人を見つけたら、合図を出すと言うモノだった。
傭兵A
【襲撃部隊の奴等、楽しく殺ってるんだろうな♪】
傭兵B
【女をコッチにも逃してくれ〜♪】
あっはっはっはっ!!
ネメシス
【....】
襲われた村は、若い男、老人は最初に殺され、若い女は遊ばれたあげく殺されていった。
ネメシスは不快でしかなかった。
【この世界に神などはいない】
ネメシスは運命を世界を恨んでいた。
村を襲われ母親に見放された彼の現実。
子供の頃のネメシスは、生きる当てもなく、絶望の中辿り着いたのは最近あったと思われる戦場の跡地だった。
ネメシスは見た、地面を覆い尽くす、兵士の死体の山。
兵士達の顔は、怒りや苦痛の表情を浮かべていた。
ネメシスにはそれは衝撃だった。
初めて見た人の死の瞬間。母親の生首はネメシスを羨む【生】への嫉妬の顔だった。
ネメシスは戦士達の誇り高い【生】の最後を見た。
自分もこう死にたい。
子供だったネメシスがすぐ兵士に成るのは無理だった。
彼が取った行動は、落ちている剣を取り、一番階級が高そうな死体の首を切り取り、死体の敵対国の前線砦へ持っていった。
ネメシスの取った首は、敵の将軍級の首だった。
子供だった彼は兵士には成れなかったが、
【傭兵・雑用としてなら】と言う条件で生きる事に成った。
それから13年の月日が過ぎ、彼は20歳になり傭兵のまま、戦場で戦い続けた。
ネメシス
【....!....合図だ】
傭兵2人の目が変る。
どうやら襲撃部隊が村人を逃がしてしまった様であった。
つづく