白いスーツの男が目を見開き、目の当たりの事象を記憶に照らし合わせていた。見覚えのある紋章がそれだった
── あの幼き戦士はやはりあの時の…ちょっとこれは思わぬ展開ですね ───
『放て!』
青の青年の一言を合図に各々が言葉を紡ぐ
『紫電!!』
男を囲むように現れた五本の雷、それが中心に立つ男を逃さんと集束する
『氷霧!!』
男を取り巻くように現れた氷の水晶、その数は百を軽く越えどんな熱にさらされても溶ける事はない
『彼方の者を呼び覚まさん…
…… 烈火の不死鳥!!』
紋章から白い閃光が発せられると、轟音と同時に全てを焼き払う大鳥を模した炎が現れた
それらは寸分の狂いも許さず男へ襲いかかった。男は大剣を盾のようにし、防ぐ構えをとった。氷と雷で身動きが取れなかった為だ
『ぐわぁあぁぁぁあっ!』
地獄の底の死者のようなホウコウが辺りに轟く
頬が焼き付いてしまうかのような熱波を残し、優雅に天へと昇る不死鳥を彼らは見送る。
ガクッとその場に膝を付く金髪の青年と同時にドサッと前に倒れこむ青の青年。
満身創痍の彼ら。全力で戦い、残された力などは無い。
『みんなに無理させちゃった…』
申し訳なさそうに頭を垂れる
『気にすんなって。俺ちょっと休んでから行くからそいつを頼む』
既に気を失っている青の青年に視線で投げ掛ける
『ふっふっふっ…
あっはっは…
はぁぁはっは!』
聞き覚えのある笑い声。一瞬にして場の空気が氷ついた!奴は生きていた!
その方向に目を向けた時には奴の革靴が少年の目の前にあった
── ガッ!!
鈍い音と共に少年は軽々と宙を舞う
── バキッ!
顔を殴られ、腹部を蹴られた勢いで林の中に消える金髪の青年
── ドッ!ドッ!
青の青年の襟元を取り無理矢理引き起こし、腹部に二発の弾丸のような拳を浴びせる。そのまま彼は湖に投げ捨てられた
『お前達をゆっくりなぶり殺してやる!だがその前に聞きたい事があるんだよな!』
口調が変わっている。その目は狂気に満ちていた
少年は口元から流れる血を拭い、体を起こした
『お前、俺と会った事があったよな!?』
── ドクン…
その問いに一瞬心臓が跳ねた