桜の話を聞いて、ふと思った。
「じゃあ…最初にあたしに話かけてきたのも、あたしが大沢太陽の妹だったの知ってたからなの…?」
答えなんて聞きたくなかった。
もしそうだったら、あたしはただの、桜がお兄ちゃんに近づくためにいる“道具”に過ぎないんだよね、、?
「…ごめんなさい。最初は知ってたの。でも、」
「もういい」
聞かなくても分かってた。
分かってたのに、直接言われてみると、きつい、つらい、悲しい、、
裏切られたわけじゃない。
でも、ショックで悲しい。
気がつけばあたしはひとりで公園にいた。
学校から家へ帰る道の反対方面の小さな公園。
家に帰って、お兄ちゃんと顔を合わすことを考えると、なんだか気まずくて帰りたくない。
お兄ちゃんに冷たく当たるかもしれないから、、。
とにかく、ひとりでいたい気分。
だから、ここで時間を潰すことにした。
何時間立ったのかな、?
ケータイの時計を見ると、夜10時を回っていた。
こんなに時間経ったっけ…
10時を回ったら、いつもなら家に連絡を入れてた。
まじめってわけじゃないけど、親に心配かけたくなかったから、、
けど、今日は連絡をしない。
誰かの心配ができる余裕がないから、
11時になると、さすがに家から電話がきた。
とらなかった、、
次にお兄ちゃんから、
次に友達から、、
すべての電話をとらなかった。