アタシはどこにでもある家庭でどこにでもいる両親から産まれ普通に育った。…ある時までは。
物心がついた頃にはパパとおじいチャンとおばあチャンと妹とアタシの生活。両親は離婚していた。
うっすらとしか記憶にないけど…ある夜、救急車が家にきて寝ているおばおチャンを連れて行きパパとおじいチャンが泣いていた事があった。
その時から女手のない生活が始まっ。
髪はボサボサ洋服はボロボロ…お風呂も入らず歯磨きもしないで毎日学校に行っていた。幸い友達は沢山いたのだ。
パパは帰ってこない。おじいチャンが妹とアタシのために朝から夜まで働いていた。夜ご飯は仕事の前におじいチャンが用意してくれた冷やしラーメンと骨付チキン。毎日同じ。
あともう1つ物心ついた時からあるのはピアノ。何故か暇さえあればピアノを弾いていた。夢中になり過ぎて朝から晩まで弾く事もよくあった。
小学2年の頃から学校の先生、おじいチャン、たまに帰ってくるパパ…アタシは毎日誰かに怒られていた。叩かれるのも外に出されるのも慣れっ子になった。アタシを助けてくれる人は…夢に出てくるおばあチャン。おじいチャンに怒られた時は必ず→『おじいチャンはあなたを母親がいない子だから…と周りから言われないように育てたいの。あなたを怒った後はいつもおばあチャンの仏壇の前で泣いてるよ。』
って夢の中で言っていた。
だからアタシはおじいチャンが大好き。帰りが遅いおじいチャンのために妹と2人でお風呂を沸し湯船に入ったらすぐお酒を持ってお酌しながら3人で楽しく話していた。
周りからすれば女手なく服も髪もボロボロで不憫に見えたと思う。アタシ気にしたことなかった。おじいチャンが一生懸命アタシと妹を幸せにしてくれていたから。
出来事って本当に突然起きるんだね。アタシの人生でこんな事が起きるなんて思ってもいなかった。今でも信じられない。
アタシが小学5年の時に事件は起きた。それはある人物との出会いから始まって。
……‥(続)‥……