DECEIT [脱出] ?

etc.  2007-11-21投稿
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 まぶたの重みが最大限に襲い掛かって来る時間帯、今は2時を過ぎている頃だ。

 辺りは静まり返り、高速道路のオレンジのライトが浚に眠気を悪化させる。

 うとうとし始めた光を見ていた望は、パソコンをスタンバイにし、聞いていたラジオを止める。

 そんな気遣いを知ってか知らずか、既に光は頭を垂れ下げながら意識を無くしていた。

 運転をしていたマークが静かに望に話し掛けた。

 「……本当に大丈夫なんだろうか」

 右手の人差し指がハンドルをトントンと叩いている。

 マークの昔からの癖で、心配事となるといつも表れる症状のような行動。

 「任務の事か?」

 返答をした望の視線は前を向いたままだ。

 「本部からの報告からして、奴らもてこずっているとうかがえるが……。 しかし妙に動きが良すぎる…… まるで監視されているような気分だ……」

 「そうだな……。 今までに経験した中でも、最悪と言っていいほどの仕事だろうな……」

 バックミラーに目をやると、Jも夢の中らしい。

 ちょうど後部座席の二人は、寄り掛かり合いながら眠りについている。

 「……なぁ、マーク」

 前を向いていた望が運転手を見つめた。

 「どうしたんだ? 顔色が悪いぞ」

 額にシワを寄せる外人は、珍しいものを見るような目で望の暗い顔をちらっと見る。

 「俺……今回の仕事で、CIAを降りようと思っている」

 一瞬、車の走行がぶれた。

 「いきなりなんだよ。 お前らしくないじゃないか」

 「これはおれの勘でしかないんだが、何か取り返しのつかないことをしているような気がしてならない。 何か大きな……」

 「大丈夫だ。 今回の任務なんていつも通り、簡単で確実なもんだろう。 俺らはあのお嬢ちゃんを本部までお送りするだけだ。 何も心配することはない」

 「だといいんだが……」

 冴えない顔のまま、望は背もたれを後に傾け、頭に腕を回しながら横を向いた。

 「悪いが、後は任せた」

 「睡眠はバッチリ取ってあるから大丈夫だ。お前はゆっくり休め」

 「悪いな。 お言葉に甘えるとするよ」

 「空港に着いたら起こしてやるさ」

 返事もないままぐったりした体はもう起きなかった。

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