そんな幻覚幻聴に苦する純は、さ迷うように家へと戻った。家には、純の姉が純の帰りを待っていた。「何度、電話したと思ってんのよ。今日から仕事でしょ」咎める口調で姉は純に言った。 「そうなんだけど、なんか変なんだよ」純は、今日の出来事を姉に話した。 「あんた、頭可笑しくなった」冗談ともとれない言い方だ。仕事はどうするのと姉は、続けた。 「それが行く気にならなくて」純は、声をおとして言った。 「純、どうしちゃたのよ。あんたらしくない」姉は、心配気だ。 純は、今まで一度も仕事を休んでいないので余計姉は心配だ。 「姉ちゃん。お店に電話してくれる」「それぐらい自分でしなさいよ」 「店長になんて言っていいか分からなくて」 「姉ちゃんこそなんて言えばいいの」 「お願い」純は懇願した。 結局、この日はお店に姉が事情を話して純は初めて仕事を休んだ。