母の面影

高倉なおと  2007-11-22投稿
閲覧数[93] 良い投票[0] 悪い投票[0]

9月20日9時半

腹が減った…

お腹が減ったから
パン屋にパン耳を取りに行った。


一年間程、食事はパン耳だ。


これからも変わらないと思ってた…


12時半

頭カユイ…

頭がカユイから
公園の水道水で頭を洗った。

一年間程、お風呂は公園で済ませてた。


これからも変わらないと思っていた。


17時半

眠たい…

眠たいから
川沿いの橋の下で段ボールを敷き拾い物の布に包まる。


一年間程、橋の下で寝てた。


これからも変わらないと思っていた。


9月30日9時半


人に怯えた。
社会が怖い。
自分自身の甘さに嫌気がさした。
なにもかもやる気が起きないから歎いた。
友達がいない悲しさと劣等感で心臓が止まると思った。
個性が無い、感情が無いはずなのに泣いた。


10月2日9時半


普通の生活したい
働きたい

働きたいから
住所未認で働ける店を探した。


見つけた


少し明るくなれた。


10月3日17時半


飛び込みで店員に面接してくれるよう頼んだ。


駄目だった

帰り道
体の具合いが悪くなった


気分悪い
機嫌悪い
気持ち悪い

現実から逃れたくて寝た

10月13日9時半


足元がざわつく
紙がひっかかってた、仕事情報誌だった、
風俗店受け付け人募集中と少し水に透けた紙は…


12月14日9時半


面接に行く。


30代半ば、身長153センチ、小肥りで手の小さな小さな女が救ってくれた。


優しい物言いに母の面影を見た




11月21日9時半

住み込みで受け付け中


小さな女が普通の友達になった

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 高倉なおと 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ