それから2年の月日が経ち、俺も大学2年になっていた。
相変わらず他人との間に境界線を引き、誰とも深く交わる事のないような生活を送っていた。
そんな時、一通のメールが俺の携帯を鳴らした。
高校の頃の友達からだったが、『高校の近くで葵に似た女を見た』と言う内容だった。
俺は走った。
今まで走った事ないくらい速く走った。
高校に着いたら門が少し開いていた。
葵ッ!あおいッ!!
教室、体育館、音楽室、学校の全部を死に物狂いで探したが葵はいなかった。
俺は自分が情けなくなった。いつまで未練たらしく生きていくつもりだ。葵はもうここには帰ってこないんだ。
そう自分に言い聞かせ、帰ろうとしたその時…。
『晴輝ッ!!』
俺は一瞬耳を疑ったが、振り返ってみるとそこには葵が立っていた。
そう、あの愛くるしい笑顔で…。
『約束…忘れたわけじゃないよね?』
俺は思わず笑った。
『あなたを好きになって本当に良かった』
そして葵は2年と言う時を経て俺の『境界線』の中に入ってきた。
…ここが俺と葵のスタートラインだ。
俺はそう言って葵を抱き締めてキスをした。
その時に見た夕焼けは、何だかとても綺麗だった…。