彼の恋人

高橋晶子  2007-11-23投稿
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臨は男とは無縁の人生を選ぶのか……?

博文は余計な親心を抱かずにはいられなかった。その事を予備校で亜鶴と彩子に話すと、
「ウヒャー! 關ちゃんと祥恵が聞いたら驚くわぁ!」
「お茶女と奈良女のどちらかなら、男が先ず近付かないわね」
と驚きと感心を滲ませる。
ここで、博文が臨の事で引っ掛かっていた本心を打ち明ける。
「だってさぁ、臨の学力ならMARCHは余裕なのに、地元志向で教員養成に拘ってたんだよ。そんな事したら自分からレベルを下げるだけなのに、『それも人の人生』だからと思って我慢してきたんだ。腹を据えかねた先生に苦言を言われて、さすがに目が覚めたようだね」
高校を受ける時も、裕介が青海を狙おうとした孝政を説き伏せて志望校を修学館に変えさせた。苛めから解放されるために修学館に受かるしかないと、裕介がきかなかったのだ。そういう事があったので、臨の選択は博文には理解し難かった。
「周りに同性の子しかいない青春に憧れて、女子大を選ぶ訳じゃないの。キャリア志向をハッキリさせるために選ぶんだから、男にチヤホヤされてたら馬鹿を見るよ」
千聖は女子大に対して杓子定規な偏見を抱いていない。キャリアを積むために、敢えて男に目もくれない勉強漬けの青春があってもいいと思っているだけだ。
ただ、女子大イコールOL&良妻賢母養成所のイメージは根強いようで、亜鶴は大学選びの苦労を明かす。
「そうそう、大学で栄養士を目指そうと思うと女子大ばかりで、『男だって食にうるさいんだよ!』って所を見たくて共学大に絞ったの。今は男でも家庭科の先生になる時代なのに」
どのように転んでも、その後の人生に影響しかねない選択である。それだけに、亜鶴は男と一緒に学問に取り組める環境とキャリア志向に拘るのだ。
千聖が最後を締め括る。
「専業主婦になりたくないなら、大事な選択だね。モーリーは手芸部のアイドルという事もあるし、料理はともかく裁縫が得意な男を煙たがる女はキャリア志向とはそぐわないね!」

彼等はまだ知らなかった。
みくが臨と同じ大学を選ぶ事を。
そして、秀が孝政に無理矢理手芸部に入部させられた事を……。

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