(聞こえるな。踏切の音。)
カンカンと電車が来ると言う知らせの音。
(私、これで幸せだ。)
そう思っていた。
「やめろ!!」
そういって、男の人が飛び出してきた。美咲を抱えて、線路をわたりきった。
「何するんですか。」
「どうにもこうにも、何やってんだ!」
「死のうと思っただけですよ。私、生きてなくていから。」
「―――――――――っ。」
言葉をなくした男は、美咲をはたいた。
「生きてなくてもいいって、なんだよそれ。」
震える声で、美咲に訴えかけた。
「死ぬなんて!!寿命の時だけでいいんだよ!!自殺だとか、そんな無意味な死に方・・・幸せに
なるなんて1秒でも考えてみろ。人生、終わったもんだぜ。」
そこまで言うと、落ち着きを取り戻した。じゃあな、2度とするなよと言って去って行った。
(あの人も、いじめにあった事があるみたい。)
―――――――――成人になるかならないか・・・。
(あの出来事は、今年の事だ。誠十さんは成人になるかならないか。それが今年・・・。)
ガバッと、起き上がった。
(私、誠十さんとあってる!?)