失って得た幸せ

日崎轍兵  2007-11-23投稿
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それは、突然の不幸だった。
今もその現場は封鎖されている。
だが、2人は助かったのだ。
…それは、寒い冬のとある日だった。
普段のように何もない平和な日、のはずだった。あのバカ共がなにもしていなければ。
理科の授業は退屈で、空ばかり見ていた。
ふと気が付いた。何か臭う。これは…ガスだ!何処からかガスがもれてる!
先生にすぐ伝えようとした。
多分そのとき既にガスは理科室に充満していた。
伝えようとした、その時!
バカ共が抜いたコンセントの電気で、理科室は吹き飛んだ。
気が付くと、そこには誰もいなかった。
俺は死んだ、そう思った。
だが、おかしい。
見える景色、空が今さっきまで見ていたのとほぼ一緒だった。
起き上がると、生徒がグラウンドに集まっている。
なんだ、みんな無事だったのか。そう思った。
しかし、どうやら逃げ遅れたのは俺一人ではないようだ。
ふと辺りを見回すと、ひとり倒れていた。
おい、大丈夫か?
聞いたが返事がない。
どうやら同じクラスのシノハラのようだ。
担ぎ上げて辺りを見回したが、他には誰もいないようだ。
理科室を出て階段を下り、非常出口から脱出した。
担いでいたシノハラをねかせ、必死に意識を取り戻させようとした。
でも、返事がない。
『おい…返事してくれよ…頼むから…まだ好きも言ってないのに…』泣きながら叫んだ。
すると、シノハラは意識を取り戻し、俺に向かって「ありがとう」と言った。
とりあえずシノハラは足をくじいたらしく、抱きかかえてグラウンドに向かった。
この事故で、俺は爆風で飛んできた破片で右腕を失った。
だが、構わない。
今は、、、シノハラが側にいてくれるから。



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