「もぉすぐ夏休みだねぇ。」
皆で帰ろうと藍治が教室の鍵を閉めている時、秀が唐突に言った。
「今年も夏休みどっか行く??」
鈴子サンが言った。アタシたち5人は休みの度にどこかへ行くのが恒例。
「ハワイ行きてぇな。」
藍治が言った。
「もっと現実的になりなさい。」
「今年はどこが良い??海は暑いだけだしどっか涼しくて楽しいところが良いな。」
鈴子サンに続けてアタシが言った。
「はい、じゃあ生徒会長の山川藍治クンから宿題です。皆明日までにどこに行くか考えておくこと。」
「「「は〜い。」」」
時々こんな風に何かを考えてくるようにと、藍治じゃなくても裕太が言ったり鈴子サンが言ったりすることは時々ある。
いつも通り裕太は白のミニチャリで、藍治は電車で鈴子サンと秀とアタシはバスで帰る。
今日も1日が終わった。今日も楽しかった。きっと明日も変わらず明後日も変わらず楽しく過ごすことになる。―そうなるはずだった。