全国から二人。
たったの二人しか選ばれなかった。
激戦を勝ち抜いて私はその会社にやってきた。
上司は社長、会長を含め7人という少人数。
しかし仕事内容はまさにプロ
高級服の製造と、国会試験取得という大きな看板があった。
私は人に認められる‥そして世界に通用する技術者になりたかった。
だが、そこの暮らしというのは地獄のような物だった。
門限6時、テレビはない見る暇もない、毎日残業、風呂は寿司づめ状態、シャワーは使えない、皆がつかった残り湯で洗髪、電気もつかない、肩までお湯がない、節約、節水。洗濯機は2週間に1回のペース。
頑固なおばあさんが指導者で毎日罵声を浴びせられた。
とても私には耐えられなかった。部屋は昭和のカビ臭いボロで地震がくるのが怖かった‥。
毎日いびられた。
毎日泣いていた。
タンスもない悲しい部屋でうつになりそうだった。
私は挫折した。荷物をすべてまとめ、早朝、誰もが寝ている時間に逃げ出した。
朝日がさしこむ爽やかな朝、私はやっと笑顔になれた。
さよなら、私の夢。
7歳から憧れていた夢に別れをつげた。
20万円という大きなお金を会社に払い、やっと自由になれた。