僕は天使。
天使と言っても翼が生えている事以外は人間となにも変わらない存在だ。
ただ単に白い翼が生えた人間に過ぎない。
そして僕には悪魔の友達がいた。
世間じゃ悪魔をバッシングする風潮が高まってるケド、彼はクラスの皆から慕われていた。
ユーモアがある人柄で良く皆を笑わせてたな…
でも教員達からは悪魔という理由だけで何かと因縁を付けてくるらしい。
盗難や物隠し、イジメとかがあると直ぐに先生達は彼を犯人だと決め付ける。
この前給食費が盗まれた時、先生は「お前の家は貧乏だから。」
という理由で彼を疑ってたな。
何で大人は翼が違うだけでここまで差別をするのだろう?
天使と悪魔と人間は共に仲良くするべきじゃないの?
その事をある日先生に直接言ってみた。
すると先生は一言こう言った。
「世界を脅かす汚れた翼の者に人権などない。
それがたとえ子供でもな…」
意味が判らない…
汚れた翼って…
僕は唖然として何も言えなかった。
*
「起きろ!!
さっさと逃げるぞ!!」
僕は真夜中だと言うのにお父さんに叩き起こされた。
僕は何が起きたのと聞こうとしたが問答無用で腕を掴まれ、玄関へと向かった。
「これで家族は全員です。」
お母さんが軍服を着た兵隊さんと何か話している。
なんだか知らないケドとても焦っているみたいだ。
「わかった…
早くトラックに乗り込め。」
兵隊さんがそう言うと僕達は外へと出た。
そう…外に出た時…
俺達を待ち受けていたのは…
想像を絶する醜い世界だった。