あの人と初めて会ったのは、たしか15歳位の時だっただろうか。
私とは一回り以上歳上で、結婚して数年…そんな昔じゃないけど、まだ携帯なんて普通は持て無かった頃、雑誌の文通募集で知り合った女性。
引っ越したばかりの私は、住所が近い女友達を探してた。
なかなか見つから無くて諦めようと思った時に、ふと目に止まった可愛らしい文字…住所も、わりと近い!
今までだって何人もの人と文通したのに、なぜかドキドキして…何を書いて良いか物凄く悩んだ。
待ち焦がれる間も無く返事をくれた。
すごく、すご〜く嬉しかったのを憶えてる。
同性で、しかも結婚してて、子供もいる歳上の人。
それでも何の違和感も無く、仲良くなって文通は続き、ある時彼女が見そこねたテレビ番組を私が録画していた事がきっかけで、ビデオを貸すため会う事になった。
とっても楽しくて可愛らしい人で、人見知りな筈の私とは思えない程に色々話したり聞いたり、楽しい時間を過ごした。
それをきっかけに、よく会うようになって私は、よく笑うようになった。
それまで、人前で話すのも人と会うのも嫌いだった。文通なら思った事を話せたけど…
何で嫌いかの理由は単純。祖父母から『無視』と『私の存在』に対する嫌悪から来る虐待。罵声に…たまに手や足も出た。お父さんも一緒に住んでたけど「助けて」って言ったけど、無駄だった。
そんな時に引っ越しの話しが持ち上がって私とお父さんはアパートで、祖父母は叔父夫婦と遠くで住む事になった。
お父さんの居ない昼間に、よく彼女と彼女の2歳位の子供とファミレスとかで、色々話した。いくら話しても話し上手の彼女のおかげで話題には、困ら無かった。
その内、手紙が届くより会う回数が増えて…気がついたら、淡い気持ちが甘い泡みたいになって、私の心に【ふわ】って、くっついてた…。