救援
呂仙人が山際晋達と笑い話に興じている所へ、巨大な白虎が姿を現わした。
大あくびをした後、前脚でポリポリ頭を掻くしぐさがやけに人間臭い。
「ほ、白虎もここにおったんかい。 こりゃ好都合じゃ、わしに手を貸してくれ」
呂仙人が白虎(ビアンカ)に曲がりくねった杖を向けた途端、ポンッと言う音と共に白猫に変わっていた。
「にゃあご?」
問い掛けるように小首を傾げた白猫を、呂(ルー)仙人は懐に押し込んでいた。
「ウッホッホ、どうも年を取ると話が脱線していかんのぅ。 実はじゃな……」
老仙人は、少し離れた集落を襲いつつある大難について語り始めた。
男手が少ないその集落は、賊徒の集団に狙われており、武芸に秀でた者の助けがいる、と言う話であった。
「わしが手を出すと、山ひとつ消し飛んじまうでの。 そこでじゃ、オヌシにもご足労願えんかと思ってな」
呂仙人は、山際晋に向かって頼み込んだ。