それから何度か彼に会った。
「山に行こうか」
めずらしく彼に言われた。裏六甲をあてなくドライブ
展望の場所で彼は車を止めた。
「どうしたの?」
海が見える景色のいい場所ではなく、山あいしかみえない人気のない場所。
「ちょい休憩」
「運転お疲れ様(笑)」「なみだって、肩すごくこってるよ」
彼が肩に手をのばしてもんでくれた。ふいに彼の手が耳に触れた。「あ…」
私の敏感な場所
しまった!なんて声を…
彼はおどろいて手を引っ込めた。
どうしよう…変におもわれたかな。
ガチャ…彼が運転席からでる。
嫌われた!泣きそう。たばこに火をつけた。「きれいだよ、降りてこないの?」
たばこを吸いながら、いつもの彼が言った
「うん」
二人で肩をならべて、山あいをみた。
「車にもどろうか」
「うん」
「どしたの?」
助手席でげんきなく答えた私に彼が言う。
「ごめんね、さっき…」
「ん?あぁびっくりした。敏感なんだね、」「耳とか、首筋はね、私の麻酔(笑)力抜けちゃうの」
「へえ、ここ?」
意地悪そうに手をのばしてきた。
「んん!」
がまんして力をいれた。耳に手はこなかった。そのかわり、私は彼にキスされていた。
「んん!」
「あんな声だされたら、がまんできないよ」ばつ悪そうに、こどものように彼が言った。
「…ごめんね、」
「なおが欲しい…だめかな?」
頭が真っ白になった。なにも考えられず、私は彼の手をにぎっていた。
車が六甲にならぶホテル街にむかったのは、そのすぐ後だった。