今回、この廃村探索に参加したのは、心霊サークルからは四年生のジュンペイ、三年のツトムとミサ、一年のマコト。ちなみにジュンペイとミサは付き合っている。
廃墟サークルからは、三年のケンタ、ミノル。二年のアカネ。
その他にもメンバーは大勢いるが、いくら廃墟や心霊に興味があっても真夏の炎天下にこんな山奥に来るなんて、七人でも多いくらいだ。
七人はしばらく村の中を歩き回った後、例の屋敷の前に集合した。立ち入り禁止とはいえ、周りに人はいないし、立て札も倒れている。侵入を阻む物は何もなかった。まるで、屋敷が、入ってくれと誘ってるようだ。
もちろん、遠慮なく入れてもらうことにした。
土間や囲炉裏、釜戸等、テレビでしか見たことの無いようなアイテムが蜘蛛の巣やほこりまみれで、マニア心をくすぐった。風呂場やトイレからも、独特の暗い負のオーラのような物が感じられ、心霊スポットとしての雰囲気も十分に醸し出している。部屋は四部屋ほどあった。比較的広いようだ。
屋敷内を探索する内に、七人はある異変に気が付いた。いつのまにか、七人ではなく、六人になっている。一人いない…
しかし、何度確認しても、誰がいなくなったのかがわからない。だが、確かに六人になっている…
誰一人、誰が消えたかがわからないのだ。信じられないが、元のメンバーが思い出せない…
気が付くと、メンバーは、五人、四人と一人ずつ消えていく…
そして、ついにメンバーは一人になってしまった。
誰が消えたわけでもない、全員が、そこにいる。しかし、そこにいるのは自分だけ…
メンバー全員が、同じ状況に陥っていた。
自分一人が取り残された状態…
お互いに名前を呼ぶが、やはり誰もいない…
でも、全員が、その場所にいるのだ…
七つの世界が展開されているのか、メンバーそれぞれが、まったく同じ場所で、互いの名を呼び合う…
しかし、返事はない…
やがて、メンバー達は屋敷の玄関へと向かった。
が、玄関の戸を開けると、そこには、取り壊されたはずの村と、真っ赤な闇が広がり、なにかが、見えない力によって屋敷からの脱出を拒んだ。
夢…これは夢なのだろうか、屋敷の外は血のような赤に染まり、その中で死んだはずの村人達が生活をしている。呼んでも返事はない。
屋敷の中だけが「リアル」だった。