毎日、夢を見る
「璃花、俺の足返してくれよ」
悪夢に他ならない
目が覚めると、声が聞こえる。
目が見えなくなってから、耳がよくなった
聞こえなくていいことも聞こえる
「翔ちゃんお願いだから。もう病院に来ないで」
「おばさん。どうしたんですか急に」
「翔ちゃんには璃花を支えきれない」
母さん何言ってるの?
「翔ちゃんだってわかってるでしょ。最近璃花の記憶力が悪くなってるの」
「だからって、どうして!別れなきゃいけないんですか!」
「翔ちゃんに・・・これ以上迷惑かけられないじゃない」
「迷惑って、そんなことあるはずないでしょう。璃花に・・・言わないでくださいよ!」
私は少しずつ話を、する事ができるようになった。
(翔太)
「璃花、起きてる?」
(私)
「うん」
(翔太)
「でさ、話があるんだけど」
(私)
「あのさ・・・翔ら・・」
(翔太)
「何?」
私はこれから嘘をつきます
翔太・・・
「わらしろ」
(翔太)
「私と?」
私・・・
「別れれ、くらさい」
(翔太)
「は、何言ってるの?」
大好きだからね
「別れれ、くらさい」
(翔太)
「おばさんに言われたんだろ?気にすんなよ」
「別れれ、くらさい」
(翔太)
「やめろよ」
「お願いらから」
私がいると、翔太の足枷にしかならない
翔太はきっと泣いていたんだろう
翔太は私を強く抱きしめた
(翔太)
「そんなお願い、聞けるわけないだろ」
私はその後、何を言ったか覚えいない。
目が覚めると、そこに翔太はいなかった。
私の肩が翔太の思いで、いっぱいだった
次の日、翔太は病院にこなかった
私は一生涯的な人との関係を、自ら断った
事故から数ヶ月、私の思いが初めて流れた
今日、母さんから引っ越しの話を聞いた
今より私の住みやすい所に移るらしい
多分、それは適当な理由
母さんは、ただ“今の家じゃないところ”に移りたいだけ
私が翔太に会わないようにするため
翔太が悪いんじゃない
母さんが悪いんじゃない
また、気付いたら寝ていた
お医者の先生が言っていた。私の記憶は徐々に過去を失う
無くしたくない過去
無くしたい過去
無くした今
無くした未来
私の心にポッカリと穴が開いた
続く・・・