突然、立ちふさがるように立っていた俊也は、少し躊躇しながら「ほんとに・・一也さんの妹さんなんですか?」と、聞いてきた。
彼が私に興味を持ったことを悟った。
体型は大柄だが、甘い雰囲気に、お酒が入って少し潤んで健気ささえ感じる瞳に・・私のイタズラごころが沸いてきて
「そうよ!・・昔から兄とは似てないって言われるのよね・・なんで?」と、俊也に近づき顔を覗きこんだ。
俊也は、意外な私の行動に一歩後退りしながら「いえ・・あっ・・あの・・さっきから気になって・・一也さんの彼女さんじゃないかなぁ〜って?!でも・・違うなら・・いいです。ホントに・・あのっ?!いいんです・・いいんですが・・」
ハッキリ言わない俊也に、少しイラッときたのと、女の子に慣れていない幼さに、ムズムズと意地悪ゴコロが芽生えてしまった私。
俊也の前に私は手をだし「携帯だして」と上目線で彼に言った。
俊也は、慌ててパンツのポケットから自分の携帯をだし、私に差し出した。
私は、自分の携帯番号を押し、ワンコールだけ鳴ったのを確認したあと「明日、電話して!」と携帯を彼に返した。
次の日、私は朝から携帯ばかりを気にしていた・・。
だけど・・私の携帯のディスプレイに俊也の番号が流れることはなかった。
一週間が過ぎたころ、突然・・俊也から携帯が、かかってきた。
私の耳に飛び込んできた彼の第一声は・・「ウソつき・・」
俊也は、少しかすれた声で話だした。
俊也は、私と出会った次の日に、一也にまた私に質問したと同じように聞き、私が『妹』ではなく『彼女』であることをシッカリ知ってしまっていたこと。
そして、私のついたウソに腹をたてながらも、胸にひっかかるモヤモヤとした感情がいつまでもひっかかること。
俊也は、少し酔っているようだった。
私は、俊也の話す声を聞きながら、なぜだか目頭に熱いものを感じ・・ソレが頬を伝わった。
確信した・・私は、俊也に恋をしてしまった。
俊也は、話を言い終えると黙ってしまった。二人の間に、しばらく沈黙がながれた。
沈黙をやぶったのは、私だった。
「何処?」
「えっ?あっ・・家です・・」
「だから・・何処?家は・・何処?」
私は、財布と上着を手に立ち上がっていた。