いつ動き出したのだろうか。タッチパネルに映し出されている階数がみるみるカウントアップしている。上昇を始める際のGを感じなかったし、無音だ。
500年前の知識で推理してみる。このエレベーターはリニア駆動なのだろうか。
程なくして22階に到着した。ドアが開き、ロビーが姿を見せた。1階のロビーよりも小さいが、かと言って全く窮屈では無い。窮屈ではないと言うと消極的だが、充分広々としている。天井まで4メートルは有るだろうか。広さは20メートル四方といったところだろうか。
ビル内居住区らしく、外の景色は見えない。
我が住居である5号室に向かった。エレベーターを出て右方向に歩き出す。幅の広い廊下が遠くまで伸びていて、何らかの動力を持った、ハンドル付きスケートボードに乗った若い男性が向かってくる。
「HELLO」
その若い男性が挨拶をしてきた。なんてアメリカンなんだろうか。ここは日本だというのに。僕も「HELLO」と返した。何だか嬉しかった。アメリカのフレンドリーなムードに憧れていたからだ。
そんなこんなで我が住居の前に到着した。携帯通信器からキーコードを呼び出してインターフォンらしき出っ張りに近付けた。電子的なチャイムが一つ鳴ってドアが静かに