午前6時20分。いつもの時間。いつもの場所に僕はいる。
河川敷のサイクリングコース。愛用のママチャリに跨がって、道行く人々を観察する。
何のために?もちろんそれは、いつものあの娘を探すためだ。
毎日この時間、この場所を通るあの娘。
やがて、ペダルを漕ぐ音が聞こえてきた。この音は……あの娘だ!
振り向こうとした瞬間、僕の横を疾風が過ぎていった。
あの娘は疾い。とんでもなく疾いのだ。あっという間に背中が小さくなってしまった。もう追いつける距離にはいない。
また、今日もダメだった…。
明日こそ、明日こそきっと!必ず追いついてみせる!
そして横に並んであの娘の横顔を拝むのだ!