夢負人?

朝顔  2007-11-30投稿
閲覧数[347] 良い投票[0] 悪い投票[0]


悠斗が住む隣町にそのビルはあった。住所は五階立ての丁度真ん中になっている。階段を上り三階まで行くと、狭い廊下にその表札はあった。
夢路探偵事務所。貰った名刺とは多少名前が違うが、夢路なんていう苗字そうあるものじゃない。住所も場所も合ってる事から間違いないと判断し、扉を軽く叩いた。
待つ事一分。人が出てくるどころか物音すらしない。
休憩で外出しているのだろうか。営業時間を確認するが居てもおかしくはなかった。
今度は少し強めに叩いてみた。それでも状況は変わらない。
苛立ちドアノブを回すと、扉はいとも簡単に開いてしまった。
悪いとは思いつつも中に入った。真っ昼間なのにも関わらずカーテンは閉め切られ、暗闇の中に微かに寝息が聞こえた。
たたき起こそうと更に中に入ると、ドラマで見るようなちゃんとした事務所になっていた。それなりに高級そうなソファーが向かい合わせに置かれ、その間に低めのテーブルが置かれている。
窓際には所長用と思われるデスク。寝息はそこから聞こえるようだ。
少しづつ近づくと異臭が鼻をつき、思わずむせかえった。父親がいる頃に嗅いだ事がある。酒と煙草の臭いだ。
案の定机には煙草が山盛りの灰皿。床には飲み干した一升瓶が置かれていた。
口元を手で押さえながらのぞき込むと、寝ている間に椅子から落ちたのであろうあの男が横たわっていた。
「夢路さん!」
声をかけるが反応はない。余程幸せな夢でも見ているのだろう。にやけた顔に苛立ちを感じた。
近くにあった新聞を丸め、思い切り頭を叩いた。すると顔を歪めゆっくり目を開いた夢路。
起き上がった瞬間目の前にあった椅子の背もたれに頭をぶつけうずくまる。
「いてー……何なんだよ。ん?君誰」
「ちょっと。貴方が名刺渡したんでしょ」
呆ける頭を回転させ、見に覚えがあったのか頷きながら椅子に座った。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 朝顔 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]
激カワスパッツで手軽
にシェイプアップを♪


▲ページトップ