ボンタン、アメ3

TOMO  2007-11-30投稿
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人の気配のない路地裏で男は必死に女から逃げていた。


女は手に20センチあろうナイフを持っていたからだ。


(殺られる!!どこか隠れられるところは)
路地をぬけた男の目に公園が見えた。
(しめた!)
男は、自分命を守るために一目散に公園にかけこんだ。


しかし男は運が悪かった。公園にはブランコ、たこの形をしたすべり台、シーソー、鉄棒など到底隠れられそうになかった。
昔の公園ならまだしもう今の公園には木々もなければ遊具自体も昔よりはるかに小さい。
どこにいっても男の姿はみえてしまう。


今かとばかりに女は男を
おいつめた。
男は、たこのすべり台までいった所で逃げ場がなくなった。
男はすべり台を背に女と向き合った。


女と男はしばらく見つめ合った。女も男も無言のままだった…


次の瞬間、女はナイフを持つ手を高くかかげ、男の胸めがけてふりさげた。


…見事な一撃だった。
たったの一回で女は完全に男をしとめた。


女が狙いをすました、だけではない。いくら狙いをすましたからといって女が大人の男を一撃だけでは殺せない。


男もそれ以上抵抗しなかったのだ。
女がこうなってしまったのは自分のせいかと自責の念にかられていたからであった。
それに男はもう疲れきっていた。走ったからではない。自分のとりまく環境に疲れきっていたのだ。



父と藤堂さんについて話をしていた次の日の夜、父と私は信じられない思いでテレビを見ていた。


テレビリポーターが
『本日、横浜市内のたこ公園で男性の遺体が散歩中の男性によって発見されました。遺体は市内にすむ藤堂幸男さん54才と見られており、死因は心臓をさされており即死と見られております!!』


父と私は言葉にならなかった…。



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