レイル&サイラス『路傍の宝玉』1

堺むてっぽう  2007-12-01投稿
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 …口惜しや…何と口惜しいことでしょう。わらわの大切な王子は、国主にはなれぬとおおせでございますか。わらわが正室でないばかりに…歳は我が王子のほうが上だというのに、正嫡殿が跡目を継がれるとおっしゃいますか。

 あのようなおかたは国王にふさわしくございません。我が王子こそ国主になられる器を備えてらっしゃるはずなのに…。

 ああ、玉のように愛らしきわらわの王子よ。そなたの幸せのためにわらわは鬼女となり果てよう。そなたの座を奪う憎き王子を狂い死にさせてご覧に入れましょう。それは、決してわらわの仕組んだことと悟られることはないでしょう。

 さあ、見るがよい、わらわの想いの深さを! 憂い嘆くがよい、我が宝玉をあなどり、ないがしろにしたことを!


 酒臭い。誰かが地面にまいたのか、ぷーんとにおう。通るだけで目にしみて、こっちまで酔いそうになるほどだ。あ〜あ、寝ちまってるオッサンもいるよ。だらしがないな。大人になって酒を飲んだとしても、道端で寝るようなオッサンにだけはなりたかない。

 今日は晴れていて気持ちがイイ。夕焼けの中を風が吹いて行った。よく見ると、咲いたかと思ってた桜がもう散り始めているな。昼も夜も関係なく、こうやって大騒ぎしている大人たちもそろそろ減ってゆくだろうか。だとしたら嬉しい。ヤツらは公園を占領しているし、さらにはからんでくるし、さっきなんて吐いたのがぶちまけられていたのを危うく踏みかけたりもした。汚いのなんのって! もうカンベンしてくれよ、って感じだ。この季節だけのガマンだと思やぁイイんだろうけど、何とかならないものかねぇ。と思っていると、右前に橋が見えてきた。



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