「もうまゆげないじゃん」
君の頬を両手で触れて顔を近付ける。
君は少し笑って、
「うるせ」
と言った。
凍えるような寒さの中で、鼻を赤くした君の目をそっとのぞきこむ。
「自分でやったの?」
目の上をなでてみる。少し毛の感触がした。
「ちげぇょ。」
「じゃぁ何で?」
君は私の右手を取る。
「授業中寝てたらやられた」
思わず吹きだすと、君もつられて笑いだす。
君の口が私の頬にそっと触れる。
そして、口にも。
瞼のへんに少量のまゆげが触れて、キスしながら笑ってしまった。
「前よりこのまゆげの方が好きかも」
少し顔を離して言うと、君は私の髪の両端をもって束になった毛先を自分の方へ向けると
「どんだけ〜なんだ」
と言った。
頭突きしてやった。
「でも好き」
と言うと君は顔を真っ赤にして笑った。