そうなのだ
彼女は傘を持っているにもかかわらず、頭のテッペンからつま先までずぶ濡れになって帰ってくる時があるのだ
多少不思議に思っていたがそんな理由があったなんて
まぁ、彼女の性格を知ってる僕にはそんなに驚くようなことではないけれども
「行ってくるね」
彼女が焼いてくれた食パンをかじりながら玄関へ向かう
ちょっとだけ焦げているニオイがするのは彼女の愛嬌だ
「うん 気をつけてね
雨に濡れないように傘持って行ってね 風邪でもひいたら大変よ」
さっきは濡れたほうがいいようなことを言ってたのに
まぁいいけど
家を出た後、ドアノブに手をかけた時の冷んやりとした鉄の感触がなかなかとれなかった
続く