プルルルル〜 『こちらは○○ダイヤルです。』
遊び半分でかけてみた。
今はあまり見かけなくなったが公衆電話には貼り紙がいっぱい貼ってあり、そこにかけると顔の知らない誰かと話しが出来ると言うものだ。
対外その目的はハレンチな話しばかりが多い。
『あの〜千裕です。(もちろん偽名)名前は?』
『僕の名前は裕樹。年は19歳だよ。』
なんて自己紹介的な話しから始まった。
『僕、初めて電話してみたんだぁ〜ちょっと友達と遊び半分でかけてみたんだけど君は?』
『私は暇つぶしにちょっとかけてみただけ』
初めてなんて嘘に決まってると思った。
どうせ顔は見えないから、嘘ついてもばれないし、
そもそも電話する時点で駄目な奴なんだろう。
私はこの先この人が大切な人になるなんて思わなかった。
『普段は何やってる人?』『僕は大学生だよ。』
なんか、普通のやり取りを30分以上続けるうちに、
裕樹が
『僕の携帯教えるからまたかけてきて〜』
私は裕樹が変な人じゃないと確信し、
『わかった。また今度電話するね。』
と約束をした。
今まで何度も○○ダイヤルにかけてるけど、まぁ珍しく普通の人と会話が出来て嬉しかった。
名前も偽名・年もごまかしてる・職業も嘘。
嘘ばかり並べて話ししたけど、次会話出来たら、本当の事言ってみよう。
私は何故素直になろうとしたのか不思議だった。
今考えるとこれが私と彼との出会い。まだ声しかしらない。