奥のほうでせかしなく動く看護士の微騒音を気にしながら、私は医者の開口一番を待った。 「今日はどうされましたか?」 優しいながらも自尊心の高ぶった声は女医のものだった。 「どうにかしてください」 私は呟くように言った。 「どうにか、と申しますと?」 「だから、見ればわかるじゃないですか!」 薄かった声は濃く塗り潰され、絵の具の原色そのもののように医者に浴びせ掛けた。
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