君が笑うと、僕も笑うから 2

けい  2007-12-04投稿
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「なあ、笑ってくれよ」
 空を仰ぎながら、誰に言うともなしにつぶやく。本当の笑顔を見なくなったと感じたのはいつからか。
 お互い、愛し合っているという事実を疑ったことはなかった。ケンカもしたし、それなりの修羅場も経験した。それでも、5年という時間を共に生きてきた。
「めぐみ」
 どんなに思っても駄目なんだと、知った。決定打は2ヶ月前の今日。
 教授の都合でゼミがなくなり、予定外の時間ができたその日。研究結果の校内発表に追われ、1週間ろくに連絡も取れなかっためぐみに、会いに行こうと思い立った。予定は確認しなかったが、その時間ならまだ大学にいると思い、ひとまずそちらへ直行した。
 これが、まずかった。いや。このおかげ、と言うべきだろうか。

 一瞬、誰だか分からなかった。
 サークルの友達だろう人達に囲まれて、めぐみは笑っていた。
 それはもう――弾けるような笑顔で。

 呆然とした。
 めぐみが笑っていたことに、じゃない。
 自分が、そんなめぐみの笑顔を“忘れてしまっていたコト”に、だった。

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