その白く美しく大きな翼で
何処までも飛んで行く
昨日の青空を
今日の月を通り抜け
雨を切り裂いて
風と一緒に
何処までも 何処までも飛んで行く
少し疲れて羽を休めた
疲れて 疲れて
動けなくなり
そのまま眠りについた
目がさめて羽を繕う
その翼は
薄汚れて小さくなり
飛べなくなっていた
飛べない鳥はいらない
飛べない鳥は死んだほうがまし
その小さくなった羽で
身を隠し
小さく 小さく
心まで…
しばらくして 鳥は
その小さく薄汚れた羽を見つめて
今まで飛んできた空を思い出した
暑い日差しが照りつける日も
雨の日も
風の強い日も
冬の寒さに凍える日も
一緒になって飛んできたあの空を…
そして翼をなでてこう言った
「今までありがとう
これからは僕の足で
歩くから
君をつれて
何処までも 何処までも 歩くから…」
そうして鳥は
その細い足で
歩き出した
ゆっくりと
一歩 一歩
大地を踏みしめて
明日に向かって
自分の進むべき道に向かって
歩き出した…