『お願いだから 一回だけ話、聞いてくれたらいいんだよ』
『だから嫌だ、って何度も言ってるでしょ!』
携帯の向こうで 懇願する幼なじみのノリ。
介護事業所に勤務する私に ノリの会社で介護部門を立ち上げる為に、担当者にアドバイスしてくれと言うのだ
その為に 飲み会設定する なんて…
私には遠距離だが、ヒロという心に決めた男性がいる。
どんな事情があろうとも 社外の男性と合コンなんてもっての他、飲み会すらダメだ!ときつく言われてるのだ。
そう言われても 全く苦痛ではなかった。
何故なら…今から七年前の夏…
羽田に降り立った私は 放心状態だった。
その足で ウイークリーマンションを捜し、バイトをしながら 日々を過ごした。
知り合いのいない東京での休日は もっぱら インターネットカフェで時間をつぶす日々だった。
折り合いの合わない夫と三人の子供達を置いて田舎を飛び出した私の心は荒んでいた。
インターネットカフェでメールを繰り返すうちに 悩みを真剣に聞いてくれる男性にたどり着いた。
私は そんな相手をどこかで待ち望んでいたのかもしれない…