10年前の今日、私と ァツシは出会った。
あの日もこんな風に、綺麗な夜空だった。
私とァツシは8歳だった。
「今日から此処が我が家だよ」
お父さんはそう言って立派な一軒家を指差した。私は、月の光を反射する白い家をながめた。
「此処に住むの?」
お父さんはにっこりと笑って頷いた。
私の心に、大きな期待が。顔に笑顔が浮かんでいた。
「じゃあ中入ろうか」
お父さんは明るい声でドアの鍵を開けて中に入っていった。
私は、家の前に立ったままでいた。
そして道路に座りこんで空を見上げた。
星が、恐ろしいほど美しかった。
あの人しかいないとこの汚い空とは違う。
しばらく見ていると、視界に何かが写る。
「お前誰?」
何かは生意気そうに言った