間違って〈本文なし〉で送ってしまったメール...。
その『翔太』って人がどうでてくるか楽しみでもあった。
私は携帯を握りしめ、じっと待った。
5分....10分...返事はこない。
明日から期末テストだから寄り道せずに早く家に帰って来たのに。
とりあえずもう勉強どころじゃない。
気になる。
気になる。
やっぱり誰かのイタズラだったのかな。
だとしたらこんなイタズラに付き合ってる暇はない。
やっと冷静を取り戻し、いつもは向かわない雑誌が山積みになった勉強机に向かう。
明日は苦手な数学と英語、そして物理のテスト。
あぁ。
授業中は友達に手紙書いてるか、寝てるか、こっそり携帯で遊んでるかのどれかだよ。
白紙状態のノートと適当に赤線が引かれた教科書を開け、とりあえず公式を覚える。
携帯が鳴った。
もしかして!!
急いでベットに置いた携帯を手にする。
...クラスメイトの香織だった。
ちぇっ。
何を期待してるのか私。
私からお願いしてた英語のテスト範囲をメールで教えてくれた香織に何故か落胆した。
香織...ごめん。
ありがとう
と素っ気ないメールを返して、音楽をかけながら教科書をパラパラとめくった。
携帯が鳴る。
また香織か。なんて思ってゆっくり携帯に手を伸ばす。
香織じゃない!
『翔太』からだ!!
急にドキドキしてメールを開ける。
タイトル
〈なし〉
本文
〈すいません。間違えました。メール消しといて下さい。〉
....え?
何が間違え?
『美空』は私じゃないの?
翔太って誰?
イタズラにしては変...
何度も何度もそのメールを読み返す。