海と空とが交わる水平線…。
地球は丸いんだって、なんの障害物もないブルーの視界が広がる。
鳥取砂丘に来たのは、もう何十年ぶりになるか…。
彼女と初めて来た場所。
あんなにケンカしてた事が、こんなにもちっぽけな事だったって、この砂丘から見る水平線を見ると安らいだ。
そんな現実の混沌とした世界から脱皮したくて足を運んだのかもしれない。
いつも精一杯な自分…昔の出来事を思い返す毎に、ささいな事で一生懸命悩んでたって笑いが出てしまう。
ふたつに別れる道に、何度も出くわしては葛藤する。未来って、なんなのだろうって悩んでみた事もあった。
人はみんな、どこに向かってるんだろうって、そんな哲学っぽい事も考えてた。
砂丘の砂を一握り…まるで砂時計の様に指の隙間からこぼれ落ち、今は違う時の流れみたいに、ブルーの水平線は弧を描いて頭を空っぽにしてくれる。
マリンブルーなのか、スカイブルーなのか…こんなにはっきり違うブルー同士の重なり合う競演。
素直な気持ちって、目の前に広がる180度の視界と、自然が奏でる違和感のない音が必要なのかって。
明日からの、またいつもの変わらぬ毎日の生活に、帰りの電車でため息つく。
きっとまた、ささいな事で、あの水平線を見たいって気持ちになるのは確かな事に違いない。