婆ちゃんの脚にしがみついたまま、我にかえり。
そして、何とも言えない安堵の余韻に浸っていたんです…。
「もう大丈夫…。」
(へ?)
と僕は月を背にした婆ちゃんの姿を見上げます。
「もう…、大丈夫だ。
ほら、…見てみな、。
覗いてごらん…。。」
一瞬困惑しましたが、言われたとおり、僕は水溜まりににじりよるなり、中を覗いたんです…。
立っていた時には、水面の反射できづきませんでしたが…、、この水溜まり……
(めちゃくちゃ深い!!)
ズンッと深く透き通ってて、何もありません。
いや、きっと底がないんです…。
あの時、もしもこの婆ちゃんに呼び止められていなかったら…、。
そう考えただけで、ぶるぶる足が震え、背中から肩へ鳥肌がゾクゾクしてくるのを感じました。
高所恐怖症の人は見ない方がいい。
予想を遥かに超えて深かったです。
(何で、こんな所に…こんなものが…。。)
この水溜まりは何なのか。婆ちゃんに尋ねようとしました。
しかし、僕が尋ねる前に、婆ちゃんの方から教えてくれたんです。
「これはね…、
今まで人間がこぼしてきた……。
涙の溜め池なんだよ。
底に逝けば逝くほど…、暗くて、重〜い…
…涙の層になっているのさ…。」
「で、でも、どうしてこんな所に…??」
「いっぱい…そこいら中にあるよ…。
みんな、気づいていないだけさね。
さぁ〜、、あんたももう、お帰り…。。」