水溜まりに手をふる男(第4章)

ポロンチョ牡丹  2007-12-10投稿
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婆ちゃんの脚にしがみついたまま、我にかえり。

そして、何とも言えない安堵の余韻に浸っていたんです…。

「もう大丈夫…。」

(へ?)

と僕は月を背にした婆ちゃんの姿を見上げます。

「もう…、大丈夫だ。
ほら、…見てみな、。

覗いてごらん…。。」

一瞬困惑しましたが、言われたとおり、僕は水溜まりににじりよるなり、中を覗いたんです…。

立っていた時には、水面の反射できづきませんでしたが…、、この水溜まり……

(めちゃくちゃ深い!!)
ズンッと深く透き通ってて、何もありません。
いや、きっと底がないんです…。

あの時、もしもこの婆ちゃんに呼び止められていなかったら…、。
そう考えただけで、ぶるぶる足が震え、背中から肩へ鳥肌がゾクゾクしてくるのを感じました。

高所恐怖症の人は見ない方がいい。

予想を遥かに超えて深かったです。

(何で、こんな所に…こんなものが…。。)

この水溜まりは何なのか。婆ちゃんに尋ねようとしました。

しかし、僕が尋ねる前に、婆ちゃんの方から教えてくれたんです。

「これはね…、

今まで人間がこぼしてきた……。

涙の溜め池なんだよ。

底に逝けば逝くほど…、暗くて、重〜い…

…涙の層になっているのさ…。」

「で、でも、どうしてこんな所に…??」

「いっぱい…そこいら中にあるよ…。

みんな、気づいていないだけさね。

さぁ〜、、あんたももう、お帰り…。。」



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